真っ二つに割れて内部をあらわにした死体…
楽器を奏でる筋肉むきむきの死体…
跳躍する死体…
あまりの生々しさに気分を悪くするヒトもいるという。今回は閲覧注意の画像が並びます。


本物の人体の標本が立ち並ぶ博物館=Body World@amsterdam
死体を化学処理し、空気に露出した状態で半永久的に保存、閲覧(時に触ることも可)できるようにしたのだ。
ポーズが印象的すぎて細部に目がいかない!

専門家によって処理されているので細部にわたって見る価値がある。

耳の前にあるのが耳下腺。そこから顔面神経がニョキニョキのびてる。

「触らないで」とはあるが、写真撮影は自由だ。
こんな人にオススメ
「医学教育の目的」だそうだが、もちろん医学関係者だけが対象ではない。だれでも閲覧することが可能だ。
- 身体作りを楽しんでいる人
- 医学に興味のある子供
- 二次元のイラストでは人体解剖の理解が深まらずに悩んでいるヒト
わたしも二次元の解剖学テキストで苦しんだ一人だ。
Body Worldで学べること
世の中には医療情報が氾濫している。もっともらしい理屈で惑わされることも多いだろう。
でもね、ここには医学の基礎がある。
人体は役割をもつ部分(パーツ)から構成されるからくりの集合体であるという前提が理解できる。
たとえばカラダの細部にまで張り巡らされた血流のネットワークの標本。体が血液を必要としているのだ。血管が詰まって血の流れが滞ればどうなるか?栄養不足で部分は死ぬよね。
神経のネットワークも同じ、細部にまで信号を送り届けているのである。これが切れたら動かなくなる。
心臓、肺、腎臓、消化管、脳神経、生殖器など役割を持ったパーツがならぶ。
人体を理解するにはもっとミクロな生理学や分子化学、組織学も必要だが、これはそれ以前の医学の基礎の基礎、理解の第一歩。
レオナルド=ダ=ビンチが懸命に墓を暴いて追究した解剖学だなあと思う。
病気の標本もあり
心筋梗塞やがんの標本だけではない。
写真のような人工関節を埋め込まれた標本もある。自分の膝を手術したという人は感慨深いものがあるかもね。

倫理的な課題がある。あなたはどう思う?

生前の意思によって捧げられたご遺体ではあるものの、意図に反したポーズを取らされて見世物にされ、尊厳を踏みにじっているとの意見もある。この観点から公開を許さない国もあるという。

日本では公開は無理だろうな…
今後の社会の流れによっては、この展覧が世界的に禁止される可能性もある。良くも悪くもといったところで、見たい人は今のうちに見るべき。
あなたはどう思いますか?
医学への貢献
見た人は解剖の理解が深まるし、社会というスケールでみれば医学に貢献しているのは間違いない。
プラスチネーションという技術そのものは大変有意義であり、医学部での勉強の機会を与え、解剖実習で献体されるご遺体に依存する頻度を低めることができるだろう。
プラスチネーションとは
Plastination。樹脂化とでも訳せるかな。
- ホルマリンを動脈に注入して、カラダのタンパクを固定。組織の崩壊をストップする。
- ご遺体をアセトン処理して水分と脂肪分を除去。
- 反応性ポリマーを身体中に染み渡らせる。体が樹脂に置き換わる。
- ポジショニング(姿勢)を作る
- 硬化
全工程で1500時間。約1年かかる。ボディーワールドのウェブサイトより。
ボディーワールド@アムステルダム
ウェブサイト
住所:Damrak 66, Amsterdam
地図:
入場料:20ユーロ(街中にあるチケット屋さんで購入すれば18ユーロ)
https://www.tours-tickets.com/en/attractions/body-worlds-amsterdam/
0-5歳は無料、6-18歳は14ユーロ、オンラインチケットだと割引がある。
あとがき
私個人に関しては、死後に自分のカラダがこのような扱われ方をするのは気にしません。社会貢献できたらむしろ嬉しい…。でもこれは個々の価値観によるので、個人の尊厳は最大限に守られるべきですね。
また時間を作ってゆっくり観たいと思います。
薄暗い室内は高感度カメラがオススメ。展示のライティングもよくできているので、ノーフラッシュで。
カメラ:CANON EOS 6D
レンズ:EF24-105 F4L IS USM
7月のオランダは昼でも摂氏20度少し。寒かった〜。